剱岳~源次郎尾根(ルンゼコース)

北アルプスの盟主、剱岳富山県に住んでいると毎日のように眼前に険しく、美しい姿を見せてくれます。富山県民にとって、眺めている分には日常的に馴染みのある山ですが、登るとなれば話は別。「雪と岩の殿堂」登山者にとっては非常に危険度が高く、険しい山容に圧倒されますでしょう。また修験道の山でもあり、不動明王の信仰の山でもあったようです。空海上人が千足の草鞋を履きつぶしても上り詰めることができなかったとの言い伝えがあり、真言密教との密接な関りも伺えます。太古の昔、空海上人がたどり着けなかったこの峻険な山に、現代の富山労山において、バリエーションコースの源次郎尾根より本峰に登頂する計画があがりました。登るルートは落石の危険もあり、あまり取り付くパーティはいないとゆうルンゼコースです。

 

★山行日

2019年9月7日(土)~8日(日)2日間とも超快晴

★メンバー4:

スキー講師Y田氏(Ⅼ)、しげっち氏(SL)、ぎっしー氏、みっちゃん(記録)

 ★コースタイム

9月7日

立山駅7:00⇒室堂8:30⇒剣沢キャンプ場13:00

9月8日

3:55剣沢キャンプ場(2,390m)⇒4:52雪渓へ(2,195m)⇒5:05源次郎尾根取り付き(2,090m)⇒5:50尾根からルンゼコースへ(2230m)⇒6:28~6:45ルンゼから尾根へ

(2,330~2,390m)⇒7:551峰(2,709m)⇒8:342峰の懸垂地点(2,755m)⇒9:23懸垂下降完了⇒10:25~10:42本峰(2,999m)⇒12:44~12:55剣山荘⇒13:23~13:54剣沢キャンプ場⇒14:40~14:50剣御前小屋⇒16:24~16:50室堂バスターミナル

 

 わたくし記録係のみっちゃんは入会2年目、やっと新人時代を脱したかなといったところです。去年会の方との会話の中で、剱岳に登るバリエーションコースのことを聞き、中でも30mの懸垂下降地点がある源次郎尾根には真っ先に行きたいと思っていました。岩登りは初級者でもなんとか、どちらかというと体力勝負と聞いていて、いったいいつ行けるのか…と思っていたのですが。今回は源次郎尾根でも岩登り要素の強いルンゼコース。しかも1泊2日テント泊というハードコースでわたくしをメンバーに加えて頂けたこと、本当に大感謝です。f:id:toyama-rouzan:20190907073233j:plain

 ご一緒させて頂く先輩方。いずれも劣らぬ”精鋭”の方々。わたくしなどがいていいのか?とも思うのですが。頑張ってついていきます!

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 素晴らしい快晴の青空です。

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 お馴染みのみくりが池。

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 富山平野もくっきり見えます。

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 お天気がいいのは嬉しいですが、暑いです…河原で一休み。

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 そして本日の宿泊場所、剣沢キャンプ場を目指します。

 荷物はテン泊装備プラスハーネス、カラビナ、軽アイゼンなども入っているので重さは20キロ近くありそう。肩にズシーンときます。トレーニングはしましたが、それでも20キロを背負っての登りはキツイです。

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 なんとか剣御前小屋にたどり着きました~。

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 明日登る予定の剱岳本峰です。なんと威風堂々たるお姿でしょう…

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 剱サマにも記念撮影に加わって頂いて。快晴の剣御前にて。

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 リーダーと剱サマとのツーショットも。

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 剣御前のあとはもう下り。30分くらいで剣沢キャンプ場に着きました。

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 まずはテントを張って休憩です。

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 剣沢小屋でビールを買って乾杯。わたくしもしっかり飲んだくれておりました🍺

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 夕方から早めに夕食の用意にかかりました。某有名店の”サガリ”。とっても美味しかったです✌山で良いパフォーマンスを引き出すには前日の夕食が大事と聞いたことが。

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 他自分の好きなものを作ったり。焼そばを炒めてらっしゃいます。

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 サガリに野菜を投入。これはこれで美味でした。

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 わたくしは一度作ってみようと思ってました創作炊き込みご飯を。

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 明日は出発時間も早くハードな一日になります。早めに就寝。星空がすごく綺麗でした。満天のプラネタリウム。夏の星座、北斗七星も夜空の端にまだ見えていました。

 

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   明けて翌日、3時には起きて出発の準備をしました。

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 暗がりの中で朝食を食べたりコーヒーを飲んだり。今日という日に備えます。

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 3時55分出発。沢筋を通って雪渓へ。軽アイゼンを履いて雪渓を下っていきます。他パーティの方々もいらっしゃいました。 

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 源次郎尾根取り付き地点に着きました。

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  出だしからオーバーハングしているところが。どう登る?だったのですが。サブリーダーに言われた通り手掛け足掛け…登れました☻

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 尾根コースとルンゼコースの分岐にはこのような赤布が。わたくし達がこれから登るのはルンゼコースです。

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 ルンゼコースの方へ下降します。草につかまったり木に登ったりいろんなことをしたような。

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 その後ルンゼコースに水平移動して入ります。

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 記録係のくせに余裕のないわたくしに代わり、ぎっしー氏が要で写真を撮ってくださいました(人''▽`)

 

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 ルンゼコースです。ここを直登していきます。ホールドもスタンスも小さく、靴のグリップで登ることも多かったでしょうか?先輩方はやすやすとカッコよく登って行かれますが、わたくしはそんなわけにはいきません。動作確認を確実に、慎重に行きました。一か所自信がなくて次の動作に移ることができない場面がありましたが、即ザイルを落としてくださいました。ザイルを体につなぎ、そばでリーダーがどのような動作をすればいいか教えてくださいましたのでその通りにしましたら…出来ました☻

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 尾根コースの方へ合流します。がっつり藪漕ぎでした。

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 一生懸命よじ登り、ついていっております。サブリーダーは余裕ですねー。

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 1峰取り付きまで来ました。リーダーとぎっしー氏が手を振ってくださってます。今そちらへ参りまーす。

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 八つ峰をバックに記念撮影。この景観の似合う方たちですねえ。

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 わたくしも混ぜて頂いて…

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  そうそう撮れる写真ではないです。貴重な人生の宝物。

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 2峰懸垂下降地点まできました。残置の鎖がかかってました。

 まずはリーダーが降りられます。ザイルが輪になっていたとのことで、ほどくのにしばらくかかってらっしゃいました。このようなところではお手伝いもできません。それにしても下が見えますが…高い!

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 次がわたくし。ちらと真下を見ましたが。実にデンジャラスな高度感でした。懸垂下降のザイルワークは何度もやってますし、復習もしたのにこの緊張感ある場面でアレ?となりました。いけませんですね。もっとハートを強くする必要があります。

 

 そしてぎっしー氏。鮮やかですねー。さすがです。

 最後にサブリーダー。ザイル回収のお手並みもお見事!

 わたくしの首にかけたスマホの映像ですが。しれっとしゃべっておりますが、本心を言うと始めは怖かったです。少し降りると恐怖心は薄れましたが。降りて行く途中ザイルが引っかかっていたりします。このような現場では自分で直さなければなりません。ザイルを落とす向きには注意した方がいいようですね。落とした向きが悪いと体を振られます。

 

 懸垂下降が終わればあとは本峰目指してひたすら登っていきます。まずはリーダーが先に登頂を果たされました。

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 まるでライオンの親子です。親ライオン・リーダー、スキー講師Y田氏が谷底に落とした子供たちが這い上がってくるのを見ていて下さいました。まずはぎっしー氏。

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 そしてサブリーダー・しげっち氏。

 

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 ビリ、わたくし。この時点でもはやヨレヨレ。ライオンの子供なら辛うじて生きて生還といったところでしょうねー。

 

 登頂した瞬間「よく頑張った!」とのリーダーの温かいねぎらいのお言葉。じーんと胸にしみました…「ありがとうございます。おかげで来れました。憧れの源次郎尾根…」3名の方と握手していただき、見渡すと剱岳は快晴の青空のもと、360度パノラマで迎えてくれました。

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 なんだかあまりに幸せで涙が出そうになりましたが。この時思ったこと、入会以来の今までの山行すべて、いいことも悪いことも。この日を迎えるために必要なこと、最低限の技能、体力、乗り越えるハートの強さ…それらを身につけるのに必要なステップだったなと。しみじみ思いました。この先どんな山行が待っているのか?いまはまだ分かりませんが、そこへ行くために必要なことを身につけていきます。

 

 しばし絶景を堪能したら、祠の前で素晴らしいメンバーの方々と記念撮影。

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  この山行を計画し、お導き下さったリーダーです。

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 もっと山頂にいたいのはやまやまでしたが、室堂ターミナルに17時までに降りて帰りの最終バスに乗らなければなりません。休憩もそんなにとれるかどうか?ハードですが、わたくしもそれを承知で参加しております。登ってきた源次郎尾根に一礼し、別れを告げ、別山尾根コースより下山です。

 写真を撮る余裕がなかったのですが、別山尾根の下りには有名な「カニの横ばい」があります。他「平蔵の頭」とか番号のふられた鎖場があって、ちょっとアトラクション的な感じもしました。慎重にいけば大丈夫。鎖場が終わったらザレた斜面の下りで、こちらの方が危ないように思いました。

 剣沢キャンプ場でテントを片付けた時点で13時45分。室堂ターミナルまでの所要時間は3時間と考えておりましたがどんなものか?

 水分補給はとにかくまめにしておりましたが、とにかく暑くて。テン泊装備を担ぐと下りでも経験値の浅いわたくしはやりにくかったです。早朝からの長い行動時間で疲労もあったのでしょうか?途中で足が馬鹿になってきたのを感じました。17時に間に合わなければ雷鳥沢キャンプ場でもう一泊するという選択肢もあるのですが、それ以前に足がもちこたえるのか?頭に思い浮かんだのは大切な人たちの顔。この山行に実力の劣るわたくしを参加メンバーとして迎えてくださった3人の方々、この山行をいい形で締めくくり、思い出として残して差し上げたい…。山初心者だったわたくしに山の楽しさを教え、鍛えてくださった労山の先輩方。そしてバリエーションルートに挑戦しようとしているわたくしを心配してか?安月給で馬鹿高い登山靴をお守りだと言って買ってくれた一人息子…自分の意地とかそんなものはどこかに消し飛んでみんなのことを思っていました。不思議と足がまたフルに動き出し、誰かに背中を押されているかのように順調に下山することができました。

 16時50分室堂ターミナル着。メンバー全員満面の笑みにて最終バスに乗ることができました。

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 立山駅でメンバーの方々にお礼を述べ、家路につきました。長い長い今日という日が終わろうとしています。

 

 ふと感じたのですが今回の山行が終わって、わたくしの中で変化があったと思います。剱岳は「神々の住む山」とも言われていますが、そうかなと思ってしまうような場面が山行中何度かありました。とても雄大でその中で遊ばされているような。山を敬う気持ちがとても強くなりました。この気持ち、山に行くときには基本装備として忘れず持っていきたいものです。さて、今度はどこの山に行こう?