toyama-rouzan's blog

富山勤労者山岳会(略称:富山労山)の山行報告です

大畠谷

日:9月13〜15日
メンバ:コバ隊長(K)、西部警察隊員(N)、ボーダーT隊員(T)
コース:13日、桂湖、6:40〜2段30m、8:40〜
    14日、テン場〜大岩壁〜ビバーク
    15日、ビバーク地〜稜線〜大笠山〜桂湖
コメント:
13日、
吊り橋を渡り、右側を少し入って、懸垂下降で沢床へ降り立つ。
しばらく河原歩き
2段30mが現れる。右岸から巻く。空身で3m上がり、そこから2ピッチ上へ、そこからトラバースして懸垂下降して、滝上へ。
しばらく河原歩き。
3段15mが現れる。
{ここでN隊員が浅瀬にイワナを発見する。T隊員が、石を集めて作った場所に追い詰め  て、石の下に隠れたイワナを手掴みでゲット!!27〜28cmほどの大物、今晩のおか ずとする}
さて、K隊長リード。体を濡らしたくないので、左壁を1段登る、そこに残置ハーケンがあり、カラビナをかけてクライムダウンして、水線へ。再度左壁を登り、テラスへ。そこでカムで支点を取る。そこから少し怖いトラバースで滝上へ出た。
2番手T隊員、残置のところまで行く。
{ここで3番手のクライムダウンに、残ビナが必要となり、K隊長が持っているカラビナを 渡してくれることになった}
K隊長が、怖いトラバースのところを四つん這いになりながら、カムより下のロープにカラビナをかけに行く。その時、ロープにテンションをかけながら行ったために、カムに横方向の力が働いてしまい、カムが外れてしまった。その反動でK隊長は落ちた。
2mほど落ちてから転がり落ち水流へ。あわや滝壺までと思ったところ、止まった。
すぐに立ち上がり、水流から脱出し、テラスへ。少し手を切ったが、特にケガはなかった。奇跡だ!!!
残ビナで後続も同様にしてテラスへ行き、慎重にトラバースして滝上へ。
その後しばらく快適に進む。
3m、8mのCS滝が現れた。左岸を登り、厳しいトラバースをして、記録通り残置ハーケンのところから、左下へ斜め懸垂下降で沢床へ降りた。
次は7m滝、右壁を上がり、真ん中で滝裏をくぐって左へ出て、さらに1段上がり、落ち口で微妙なスラブのスタンスで水流をまたいで右へ移る。
次は6m滝、右の垂壁を登る。空身でN隊員にリードを任せる。初めてハーケンを打ったというN隊員、見事なリードでした。後続はザックを担いで行くが、やっぱ体が重くそこそこ厳しかった。
続いて大きな釜のある滝、これは深さがやばそうで、泳げないK隊長は、㊙アイテムの浮き輪(以前Cooperさんからもらったもの)を膨らましていた。でも先頭は行かず、T隊員も泳ぎはヘタなのでN隊員に任せる。左からヘツれば一瞬だけ足が着かなかったが問題なし。なんてことなかったこの滝はアッサリ。
次は7m滝、右壁、上部が厳しいが、空身でK隊長のリード。支点が取れないが、草を束ねて取る。(さすが)そして滝側へ身を乗り出す怖いところを微妙なバランスで超える。2番手のT隊員は、ザックがあるので草を束ねた支点が信用できず、落ちたら水線へ行ってしまうのを避けるために、ナッツをキメてから行った。足が滑り、非常に怖かったが、なんとかうまくクリアできた。次にザックを荷揚げしなければならなかったが、支点を作ってロープを通してあるため揚げられない。T隊員がハーケンを打ってスリングでお助け紐を設定し、これを掴んでもらって上からK隊長に支点回収に行ってもらった。
これで荷揚げし、3番手のN隊員も登ってクリア。
次は5m滝が現れたが、もう時刻は18:00
あきらめて、少し戻ってわずかなスペースでテン場にした。
焚火をし、N隊員の作成した串でイワナを焼きながら乾杯。無風なので寒くなかった。
イワナは遠火でじっくり焼いた。3人で食べたが大きいので十分だった。塩がなくても美味かった。
わずかなスペースには真ん中にデカい石が埋まっていてどうしようもない。この石の上にテントを乗せるしかなかった。デカい突出があるテントで、なんとか3人手足を伸ばして寝ることができた。(こんな経験初めてだ)
〜就寝〜
2日目、快晴無風だ 7:00出発
5m滝、どこを登るか考え中、持ってきた記録に写真があった、
右壁を登って上部を水流のスタンスを使ってクリア。
しばらくは快適な河原&小滝
やがて2段40mが現れた。右岸を巻く。K隊長がリード。やや厳しいライン取りとなったが、慎重に超える。最初の支点はハーケンを打った。そこから直上は難しく、一旦下がりながら左へトラバースし、立木で支点を取り、そこから上って行った。フィックスしたロープ、1ピン目が2ピン目より上という形になっているので、2ピン目を先に回収していくように2番手N隊員がスタート。姿が見えるところまでK隊長が心配で降りてきていたが、スタートしたのでまた登って行った。
途中でN隊員が厳しさで止まっていた。そうするうち、足が外れて落ちた。
タイブロックで止まると思ったら、そのまま擦り落ちてきて、最後に飛ばされて背面にある沢床の大岩に、背中(ザック)が当たって、そして下へストンと落ちた、
慌てて駆け寄ると流血していた。場所は左瞼の上、ザックリ切っていたが、出血は弱かった。大声で叫び、K隊長に伝えた。ザックとメットを外し、意識を確認したが、しっかりしていた。耳鳴りと、目が回るような感じがあると言ったが、手足は無事だった、
頭もぶつけなかったようだ。軽い脳震とうか??
落ちた時お尻からだったので、臀部を強打していた。
K隊長が下りてきた。
傷を手当した。しばらく寄りかかっててもらい、しばらくそのまま様子を見ることとなった。瞼上を切った原因はメガネだった。フレームが変形していたがレンズは欠けただけだった。
〜大休憩〜
{初め、タイブロックが効かなかったのかと思ったが、良く見るとハーケンが抜けたのだっ た。そういえば、フィックスしたとはいえルートが少し蛇行して2ピン目が下になったた め、テンションがかかった場合、1ピン目のハーケンに全テンションがかかることになっ ていたのだった。それを直さないままスタートさせてしまった。ルートは少し蛇行したが 直上なので、落ちた時どうなるかを考えてなかった。また、ハーケンが抜けるということ も考えていなかった。大反省点である。K隊長も、ハーケンを抜こうかと思って降りてき たが、もうスタートしていたためそのままにしたということだった。また、こんな厳しい ルート取りをしたことも間違いだった。反省点である。この後どうするか考えた。場所は ど真ん中辺りで、下るも上がるも電波圏内へは1日かかるだろう。でも登って稜線へ出た 方が電波は繋がるか…etc.}
やがてN隊員が、耳も目も、治ってきたといい、少し動いてみたら、お尻がかなり痛いが、他は痛みはないとのことだった。
結局、ザックとお尻で衝撃を受けたため、頭や手足は無事だった。河原の岩がスポットしてくれたような感じ。擦り落ちた時にメガネをぶつけたから切ったのだろう。お尻から落ちたところも、まず大きな流木の上に落ち、滑るように落ちて河原に着地となったため、衝撃が軽減されたのだろう。
奇跡だ!!!信じられない軽傷だ。
なんとか登れ、歩ける状態にまで回復した。ほんとに奇跡だった。
計画では、開津谷の下降で戻る予定だったが、止めて、登山道で戻ろうということになった。
もうこの高巻きルートは止めて、もっと下から取り付こうと、高巻きをやり直し。
ロープなしで登れるところから登り、ロープを出して2ピッチトラバース、立木に残置スリングのあるところに来て、そこから懸垂下降で沢床へ降り立った。
しばらく順調に進む
やがて大岩壁の左俣が見え、少しして、全容が見えた。これが大岩壁だ。この右壁を登るのである。いよいよだ!目指すラインを確認して、少し休憩後出発!右俣ゴルジュへ入る。記録通り、ショルダーで1段上がり、お助けで3番手を引き上げて少し進む。開けたところでいよいよ右壁へ。ここはすべてT隊員がリードする予定で、持ってきたクライミングシューズに履き替えてスタート。
傾斜が緩いので難しくはない。やばいところを掴んだり、足を置いたりしないように気を付けながら、落石を起こさないように注意しながらゆっくり慎重に進む。支点はすべて自作なので、ロープ残量を確認しながら途中1〜2か所だけ支点を取り、50mいっぱいに登ったところでハーケンを2本打ってビレイ点とする。2番手はK隊長、タイブロックで登り、3番手はビレイでN隊員、
この要領でトータル4ピッチで全員登りきった。ここで時間は18:00、ヘッデンを点けて急いで下りにかかる。トラバースしてから、ヤブのないところを降りていく。
しかし途中でヤブが出てきた。ここでK隊長が偵察に行くが、やはり暗くてよく分からない。迷ったが危険なのでビバークすることになった。
ノコギリで木を切って傾斜の緩いところをビバーク地とした。幸い持っていた水で、食事は作れた。
テントのフライを被って防寒着を着て
〜就寝〜{幸い無風で助かったがやっぱり寒かった}
3日目、曇り無風だ 5:30過ぎに出発
やっぱ明るいとわかる。すぐに残置スリングのある木を発見し、懸垂下降で沢床へ。
あと少しでビバークは避けられたのに残念だった。
少し進んでから、朝食タイムを取った。
この後も、いくつか滝が出てきたが、難しくはなかった。
3m滝は左の草付を巻き、40mナメ滝、15mナメ滝はぬめって危険なのでロープを出して登る。
二俣で左俣が垂壁というところが現れた、我々は稜線を目指すため、この左俣を行かなければならないので、右俣を少し登ってから、草付の厳しい斜面をトラバースして、左俣へ戻った。少し進むともう一度、同じような二俣が現れた。今度はそのまま右俣を詰める。
そのままヤブ漕ぎとなり、ようやく稜線に出た。標高は1530m辺り。みんなで握手を交わした。ここまでこればあとは時間が読めるので安心。大笠山に立ち寄って、下山。
あと少しで終わりというところで、K隊長が「蜂に刺されたぁ」と叫んだ。目の前に飛んできたので手で追い払ったところ、太ももにとまりチクリとやられたとのこと。
すぐに移動しようと言ったが、T隊員が「ポイズンリムーバを持っているから吸い出そう」と、その場で取り出していたところ、再び蜂が飛来。慌てて逃げたT隊員が追いかけられて背中をチクリ。「やられたぁ」(>_<)
結局、二人ともN隊員にポイズンリムーバで吸い出してもらった。
気を取り直して歩き出し、最後に梯子を下って吊り橋に到着。
ハードな3日間で疲れ果てたが、大きな達成感で、大満足!
それにしても、3日間、天気も安定、水量も少なめ、大きなケガもなく、とにかく
奇跡の山行だった。